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手作り感が親近感に!森永製菓のSNSコツコツ運用術

手作り感が親近感に!森永製菓のSNSコツコツ運用術

森永製菓×コムニコミニセッション

2014年12月16日、コムニコのミニセッションに森永製菓株式会社 コーポレートコミュニケーション部 広告グループ/デジタルコミュニケーション担当の岩崎 育夫氏が登壇し、森永製菓でのソーシャルメディア活用について語った。

岩崎氏は「森永のやり方が正解というわけではないが、自分たちのやり方を話す」と述べたが、その内容は示唆に富み多くの企業担当者にとって参考するべき点があった。

Webではとんがった施策で若者の心をつかみたい

森永製菓というと、テレビCMでもおなじみのナショナルブランドだが、最近のブランド調査では若い世代から「新しさ」「かっこいい」「自分たち向け」といったイメージを持たれていないことがわかり課題として捉えていたという。こうした中で、「直接お客さんと接することができるWebで、とんがったこと、ダイレクトなコミュニケーションをしていこう」(岩崎氏)という方針が生まれた。

岩崎氏はコーポレートコミュニケーション部として、コーポ−レートアカウントを運用しているが、社内にはブランドごとに立ち上げたアカウントが14個ほどあるという。アカウントの多くが2011年ごろからブランドの担当者レベルで、自然発生的に始まったものが多い。

コーポレートコミュニケーション部がコーポレートアカウントを運用するようになったことをきっかけに、各アカウントの運用目的や方針を整理する「SNS公式アカウント運営管理表」を作成した。現在はアカウントを開設する際にこの書類を作成してコーポレートコミュニケーション部に申請するという流れになっている。「すでに運営している人にも管理表を記載してもらったところ、改めて運用の目的が整理できてよかったと言われた」と岩崎氏。管理表の目的以外の記載項目としては、投稿者の立場(キャラクター、担当者など)、投稿のパターン、投稿の頻度などを記入する。この管理表は、担当者が変わるときにも役に立つ資料になるという。

ソーシャルメディアの担当者に求められる要件は常識人であること

2011年ごろからブームになったソーシャルメディアは、2014年以降ジョブローテションで担当者の入れ替えが発生することから、後継者の選任が課題になっている。運用を引き継ぐ人はどういう人がいいのだろうか。

岩崎氏は「当たり前だけど常識がある人が絶対条件」だという。「アクの強いアカウントであっても、運用している人は常識のある人。そうでないと、必ず炎上する」と岩崎氏。常識があるからこそ、発信してよい冗談、風刺が見極められるのだ。

もう一つが「いろいろな立場に立てる人」だという。「3連休といっても休みではない人もいる。だから、『連休の人もお仕事の人も…』というような細かい気遣いができる人が適任」と岩崎氏は述べる。

森永製菓では、ソーシャルメディアポリシーを策定しているがその理由について、「いちいち承認を得ていたらリアルタイムなコミュニケーションができない。そのため、運用ルールを守るという条件で担当者に発信は一任している」と岩崎氏は説明する。Webサイトにもポリシーは公開し、運用担当者だけでなく、利用者にも明示している。また、社員の個人利用についてもポリシーを策定した。「ポリシーはべからず集ではなく、積極的に使ってもらうため、安心して利用してもらうために作った」と岩崎氏。

予約投稿を活用。しかし、朝は必ず手動投稿

Twitterの運用では、あらかじめ投稿原稿を作成し、いつ投稿するかを決めて、ツールを使って予約投稿を行い運用の負荷を減らしている。

しかし、朝だけは必ず手動で投稿するという。その理由について、「夜中のうちに大きな災害、事故があったときに、予約投稿で作成したのんきなツイートが流れるとまずい」と岩崎氏。おはようのあいさつをツイートすると、フォロワーがあいさつを返してくれるので、その返信が朝の日課になっているという。

以降は予約投稿で、時間に合わせておすすめ商品、レシピの紹介、おやつの紹介などをしているという。なお、投稿の写真などは担当者が自前で作成しているという。

RTと返信の使い分け。そしてDMは使わない理由

フォロワーからの返信については時間を決めてまとめて対応をしている。RT、返信の使い分けとしては「画像をつけてアップしてくれているツイートはRT、個人的な話、画像なしは返信で対応」(岩崎氏)することが多いそうだ。

森永製菓では、DM(ダイレクトメッセージ)は原則使わないという方針で運用しており、アカウントの説明にも、お問い合せはお客様相談室へというように案内している。理由はSNSで個別対応していたらきりがないので、専門部署に任せたほうが効率的だからだ。

「といっても全部返さないわけではないです。『話題の商品がないです、どこに売っているのですか。』という質問があるとします。お客様相談室にこの質問がきた時は苦情なので丁寧に対応しないといけない。ですが、Twitterは苦情ではないゆるさがあって『がんばって探してみてください』という返事でOKなんです。そう返すと『がんばります!』と返ってきたりしますよ」と岩崎氏。

岩崎氏は、普段のあいさつや余談が大事と語る。常にコミュニケーションがとれるようなアイドリング状態にしておくことで、いざというときに拡散になるのだという。頻繁にやりとりする「常連さん」は好みや以前の会話を覚えておいて、次の会話のときにつなげたり、ふれたりすることで、喜ばれるコミュニケーションができるという。「対面はしないけれどアナログな接客業のようなものです。対面販売で世間話のなかでおいしいですよ、と言いながら売るような感じです」と岩崎氏。

効果測定は3つのキー、傾聴手段としても効果が

岩崎氏は効果測定として、「情報発信」「共感度」「情報受信度」の3つを挙げる。

情報発信としては、自社メディアとしてどれくらいの人にリーチできたか、共感度としてはRT、いいね!、シェアなどを評価しているという。

情報受信度は、ソーシャルメディア上のユーザーの情報発信のうち2割位参考になる情報があるので、傾聴としてテキストマイニングしているという。「ソーシャルメディアは貴重な発言の宝庫です。これまで、費用をかけて消費者の評価をリサーチすることがありましたが、ソーシャルメディアでは日々お客さんの自然な声が聞こえてきます。これまではなかなか聞こえなかった声ですし、やはり『おいしい』という評価が多いと自社活動の自信にもなります」と岩崎氏。

現在NPS(Net Promoter Score)による評価を始めたという。「コミュニティ参加者(森永製菓ではクローズドなコミュニティも運営している)、SNSのファン、それ以外の3つに分けてNPSを評価したところ、やはりコミュニティ参加者、SNSファンは推奨意向が高くなるという成果が出ています」と岩崎氏は述べる。SNSの活動が購買につながったかは評価できないが、NPSで評価していこうという考えだ。

1時間のセッションだったが、森永製菓の運用がよくわかった。Twitterは広告を投入していない、各アカウントの担当者は一人、写真は自分で用意というような、手作り感も親近感を感じさせファンを作る秘訣になっているのではないだろうか。